子供の嘔吐!気になる原因や対処法・受診の目安は?
大人と比べると子供の体はまだまだ未発達で、消化機能も整っていません。そのため、少しの刺激でも嘔吐しやすいといった特徴があります。しかし、中には病気が原因で嘔吐する場合があります。今回は、子供の嘔吐の原因や対処法・受診の目安についてご紹介していきます。いざというときのために、しっかりと覚えておきましょう。
1.子供が嘔吐する主な原因
1.嘔吐+下痢
・ウイルス性胃腸炎
子供が嘔吐する最も多い原因です。特にノロウイルス・ロタウイルスが有名で、突然嘔吐や下痢といった症状があらわれ発熱を伴うことも。症状が出始めて半日ほどが嘔吐のピークといわれており、乳幼児は脱水症状を起こしやすいため注意が必要です。ロタウイルスはワクチン接種もありますが、小さい子供は免疫力が低いため90%以上が5歳までにかかるといわれています。
・細菌性胃腸炎
黄色ブドウ球菌やサルモネラ菌といった細菌が原因で、発症する胃腸炎です。細菌の種類によって症状が異なり、嘔吐・下痢・発熱が主な症状ですが、ウイルス性胃腸炎よりも重症化することもあります。
2.嘔吐+発熱
・風邪
風邪による嘔吐もあります。子供の体質によっては、風邪を引くたびに嘔吐することもあるため、脱水症状を起こさないようしっかりと水分補給を心がけましょう。
・インフルエンザ
風邪と同じような症状も見られますが、風邪との違いは関節痛や急激な高熱・頭痛といった全身症状です。インフルエンザは小さな子供がかかると重症化しやすく、肺炎・中耳炎・脳症といった重篤な合併症を起こす場合もあります。
3.嘔吐+意識障害
・脳症・髄膜炎・脳炎
・脳症…風しんやはしか・水ぼうそうのウイルスが合併症として、脳症が起きることがあります。
・髄膜炎…ウイルス性と細菌性があり、度重なる嘔吐や高熱・頭痛が主な症状です。意識障害やけいれんを起こすこともあり、入院が必要になるほど非常に症状が重い病気です。肺炎球菌・ヒブの予防接種で防ぐことができるため、必ず予防接種をしておきましょう。
・脳炎…髄膜炎と同じような症状ですが、脳炎は脳神経にダメージを受けるため後遺症が残ってしまうことも…。
4.その他考えられる、子供の嘔吐の原因
・頭部外傷
強く頭をぶつけることで嘔吐中枢が刺激され、嘔吐が起こります。頭をぶつけた後、短時間で何度も嘔吐を繰り返すようであれば、頭蓋内に出血の可能性があります。早急な受診が必要になるため頭を強くぶつけた後は、子供に異変がないか注意して見守りましょう。
・アセトン血性嘔吐症(自家中毒)
子供が体力を消耗する運動会や遠足・風邪といったときに、疲れて食事をとらずに寝てしまうことがあります。すると、十分な食事をとっていないため糖分が不足して嘔吐することがあります。他にも、極端な環境の変化によるストレスによって起こりやすくなります。
・腸重積症
腸の中に一部分の腸が入り込んでしまう病気で、激しい腹痛とイチゴゼリーのような血便が特徴です。腹痛はずっと続くのではなくおさまるときもありますが、発症から数時間経過すると重なった腸の部分が壊死してしまいます。嘔吐・痛みに波がある・腹痛・顔色が悪くなる・血便といった症状がみられたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
・食物アレルギー
食物アレルギーはじんましんや肌のかゆみが主な症状ですが、重くなると嘔吐・下痢といった症状が出る場合があります。食物アレルギーは食べてから20分以内に症状が出るのが一般的ですが、まれに食べてから6~8時間、ときには1~2日後と時間が経ってから症状が出る場合があります。
また、複数の症状が出るアナフィラキシーは、呼吸障害・ショック状態になることもあり素早い対応が必要です。
2.子供が嘔吐したときの対処法
1.脱水症にならないように水分補給を
嘔吐して30分~1時間ほどは、子供が何か欲しがっても飲む・食べるといったことは控えましょう。子供の様子を見て落ち着いてきたら、脱水症状にならないよう水分補給を。嘔吐が続くときは胃腸の働きが弱っているため、できればお茶や水よりも体内に吸収されやすい経口補水液がおすすめです。
水分も一度に飲ませてしまうとまた嘔吐してしまう可能性があるため、大さじ1杯程度の量を1回、15分ほど経過して異常がなければもう少しだけ飲む、といったように摂取していきましょう。
2.ウイルスによる感染症の場合、予防も忘れずに
ウイルス性胃腸炎で子供が嘔吐した場合、その処理によって家族に感染が広がってしまう可能性があります。感染を防ぐためにも嘔吐物を処理するときは、使い捨ての手袋・マスクを着用し、嘔吐物はビニール袋へ入れます。その後、床をふき除菌を行います。ウイルスは除菌スプレーでは効果がないため、塩素系漂白剤10ミリリットルと水500ミリリットルを混ぜた液で、しっかりとふき取っていきましょう。洗濯は他の物と分け、指の間や手首まで入念に手洗いを行うことも重要ですよ。
3.子供の嘔吐で受診する目安は?
次のような症状が出ているときは脱水症状、または重篤な病気の可能性があるため要注意です。
・嘔吐や下痢を何回も繰り返す
・嘔吐したあと、子供の機嫌が悪く泣いている
・けいれんや引き付けといった症状が出ている
・半日以上、おしっこが出ていない
・強い眠気がありぼーっとしている
・嘔吐したものに黄色・緑の液体や血液が混ざっている
これらの症状はあくまでも目安です。少しでもいつもと子供の様子が違うと感じたときは、重症化する前に夜間・休日に係わらず、早めに受診することをおすすめします。水分や食事がわずかでもとれている・嘔吐の回数が少なくそこまで機嫌も悪くない、といった場合は日中にかかりつけ医で受診しましょう。
4.まとめ
1.子供の嘔吐は主に胃腸炎が原因だが、重篤な病気の可能性もあるため子供の様子をしっかり確認して受診することが大切。
2.子供が嘔吐したときは、脱水症状にならないよう水分補給をしっかりとし、家族に感染が広がらないよう予防する。
3.子供の様子に異変を感じたらすぐに受診し、症状が落ち着いているようであれば日中に受診を。
子供の嘔吐には様々な原因があります。まずは慌てずに子供の様子を確認し、異変を感じた場合はすぐに医療機関を受診することが大切です。小さな子供の場合、異物摂取という可能性もあるため、誤飲した跡がないかの確認を行うことも忘れてはいけません。また、日頃から子供の手が届くような場所に薬品・化粧品・タバコを置かないようにするのも大切ですよ。